☑️ 米国でPayPay主導の新会社を設立しQRとNFCの併用型決済を展開
☑️ 国内では残高や銀行口座を単一のVisa資格に集約しアプリ内で切替可能に
☑️ 訪日客が自国のアプリで日本のPayPay加盟店を利用できる仕組みを整備

PayPayとVisaは2026年2月12日、グローバルおよび日本国内における決済イノベーション推進に向けた戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表しました。PayPayが主導する新会社を通じた米国市場への参入と、日本国内におけるPayPayアプリの機能とVisaネットワークの統合が柱となります。
米国市場での「デュアルモード」展開
今回の提携の目玉は、PayPayのグローバル展開の第一弾となる米国市場への進出です。PayPayが過半数を出資する新会社を設立し、Visaが投資、技術、人材、コンサルティング面で支援を行う体制を構築します。米国市場では、スマートフォンを用いたNFC(非接触)決済とQRコード決済の双方に対応した「デュアルモード」のデジタルウォレットを展開する方針です。

PayPayの中山一郎代表取締役社長執行役員CEOは、米国の個人消費が約2600兆円と日本の約9倍の規模に達する一方、依然として約300兆円規模の現金決済市場が残存している点を指摘しました。2030年にはデジタルウォレットのシェアが40%に達すると予測されており、ここに成長機会を見出しています。具体的なサービス開始時期については、州ごとのライセンス取得や当局の承認が必要となるため、決定次第公表するとしています。まずはカリフォルニア州など一部地域でのネットワーク構築から着手する計画です。
国内決済機能の「シングルクレデンシャル」化
日本国内事業においては、ユーザビリティの抜本的な改革が進められます。Visaの技術を活用し、「PayPay残高」「PayPayカード」「PayPay銀行」の各機能を一つの「Visaクレデンシャル(資格)」に集約します。これにより、利用者はアプリ上の操作のみで支払い元(プリペイド、クレジット、デビット)を即座に切り替えることが可能となり、Visaのタッチ決済加盟店を含む世界中の店舗で利用できるようになります。
この新機能は、既存の「PayPay」アプリ内での体験を進化させるもので、年内の提供開始を目指して開発が進められています。従来、PayPayカードや銀行口座はそれぞれ独立した決済手段として管理されていましたが、今後は一つのVisa資格の下で統合管理される形となります。
インバウンド対応と加盟店網の接続
訪日外国人(インバウンド)向けの決済環境も強化されます。Visaのネットワークを通じて、海外の金融機関やウォレットアプリを利用する旅行者が、日本のPayPay加盟店に設置されたQRコードを読み取ることで決済が可能になります。これにより、加盟店側は新たな端末導入や契約手続きを行うことなく、海外からの購買需要を取り込むことができます。
Visaのジャック・フォレステル最高製品・戦略責任者は、同社のネットワークが世界200以上の国と地域、1億7500万以上の加盟店を結んでいる点に触れ、PayPayとの提携により「日本の決済イノベーションをグローバルネットワークに接続し、消費者と加盟店双方にシームレスな体験を提供する」と説明しました。
| 項目 | 概要 | 目的 |
|---|---|---|
| 米国展開 | PayPay主導の新会社設立、QR/NFC併用アプリ提供 | 現金市場300兆円の取り込み |
| 国内機能 | 残高・カード・銀行を「Visaクレデンシャル」に集約 | アプリ内での支払い元切替と利便性向上 |
| インバウンド | 海外アプリでPayPayのQRコード決済が可能に | 加盟店の機会損失防止と対応コスト抑制 |
発表会見で中山社長は、今回の提携を「PayPayが世界に挑戦するためのチケットを手に入れた」と表現しました。国内のコード決済市場で約3分の2のシェアを持つPayPayが、国内市場の成長鈍化を見据え、巨大な米国市場へ活路を求める動きといえます。米国ではすでにクレジットカードやApple PayなどのNFC決済が普及していますが、PayPayは日本で培った加盟店開拓のノウハウとUX(ユーザー体験)を武器に、現金決済層や既存サービスの隙間を狙う構えです。
国内においては、PayPayアプリが実質的にVisaカードの機能を取り込むことになり、他のQR決済事業者やクレジットカード会社との競争環境が大きく変化する可能性があります。
技術と法規制のハードルが高い米国市場での成功は未知数ですが、Visaという強力な後ろ盾を得たことで、PayPayの戦略は新たなフェーズに入ったといえます。国内の圧倒的な基盤を維持しつつ、海外でどこまでシェアを獲得できるかが今後の焦点となりそうです。
発表日時: 2026年2月12日
関連URL: https://about.paypay.ne.jp/pr/20260212/01/
