☑️ 第3四半期は全セグメント増収で売上高・純利益ともに過去最高を記録
☑️ ファイナンス事業は営業利益が前年同期比2倍超となりPayPayが収益の柱へ成長
☑️ 通期連結業績予想を売上高6兆9500億円、純利益5430億円へそれぞれ引き上げ

ソフトバンクは2026年2月9日、2026年3月期第3四半期の連結決算を発表しました。売上高は前年同期比8.0%増の5兆1954億円、営業利益は同7.6%増の8841億円、親会社の所有者に帰属する純利益は同11.2%増の4855億円となり、売上高と純利益は過去最高を更新しました。
全セグメントで増収を達成し、特にファイナンス事業とディストリビューション事業が2桁成長を記録しました。進捗が順調であることから、同社は通期の業績予想を上方修正しています。
ファイナンス事業が収益の第2の柱へ
今回の決算で特筆すべきは、ファイナンス事業の急成長です。同事業の売上高は前年同期比23.9%増の2954億円、営業利益は同102.8%増の660億円となり、利益ベースで倍増しました。これは、PayPay株式会社およびPayPayカード株式会社における決済取扱高(GMV)の拡大が主な要因です。

PayPayの連結GMVは前年同期比24%増の14.3兆円に達し、連結EBITDAは同83%増の791億円となりました。決済回数や登録ユーザー数の増加に加え、PayPayカードやPayPay銀行との連携強化が奏功しています。

宮川潤一 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOは、PayPayの成長について「PayPayを育てるつもりで最初は担いだつもりだったが、最近はPayPayに引っ張られているところもある。うまい相乗効果になっている」と述べ、通信事業と金融事業のシナジーが発揮されているとの認識を示しました。

また、PayPayの上場準備については「順調である」と述べるにとどめましたが、グループ全体の企業価値向上に向けて引き続き注力する方針を示しています。
通期業績予想の上方修正
第3四半期までの順調な進捗を受け、同社は2026年3月期の通期業績予想を上方修正しました。修正後の予想は以下の通りです。
- 売上高: 6兆9500億円(前回予想比 2500億円増)
- 営業利益: 1兆200億円(同 200億円増)
- 親会社の所有者に帰属する純利益: 5430億円(同 30億円増)
メディア・EC事業において、子会社であるアスクル株式会社がランサムウェア攻撃を受けた影響などによる減益要因がありましたが、他セグメントの好調がこれをカバーする見通しです。宮川氏は「期初に約束した過去最高となる純利益の目標達成については、十分に到達できると見ている」と説明しています。
コンシューマ事業の構造改革と「質」への転換
主力のコンシューマ事業は、売上高が前年同期比3.3%増の2兆2532億円、営業利益が同6.3%増の4683億円となりました。モバイル売上は増収基調を維持しており、顧客単価(ARPU)も上昇傾向にあります。
一方で、スマートフォンの契約数は前年同期比では増加しているものの、直近3カ月では約10万件の純減となりました。これについて宮川氏は「お見せするのはお恥ずかしい限りだが、これは意思を持って取り組んだ結果」と説明しています。
同社は昨年9月から、短期間でキャリアを乗り換える「ホッピングユーザー」の獲得を抑制し、長期利用ユーザーを優遇する構造改革を進めています。見かけの契約数獲得よりも、解約率の低減と収益性の向上を重視する「質」への転換を図る方針です。宮川氏は「短期解約ユーザーの獲得を抑制しながら、これから解約率を低減させていき、増収増益を続ける事業構造へと変革していきたい」としています。
AIインフラと光回線事業の強化
将来の成長に向けた投資として、AI計算基盤と通信インフラの強化策も発表されました。
AI分野では、GPUの計算基盤をクラウドサービスとして提供するためのソフトウェア「Infrinia AI Cloud OS(インフリニア)」を開発しました。従来、GPUを用いたAI学習環境の構築にはハードウェアとソフトウェアの複雑な初期設定が必要でしたが、同ソフトウェアによりクラウドサービスとして容易に利用可能になります。これにより、AIの学習だけでなく推論用途の需要取り込みも強化する方針です。
固定通信分野では、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社と合弁会社を設立し、光回線サービスのアクセス設備を共同で保有・運用することを発表しました。NTT局舎内にある双方の設備を合弁会社が集約し、投資効率と収益性の向上を図ります。宮川氏はこれを「KDDIと設立した『5G JAPAN』の光回線版」と表現し、インフラの共有によるコスト削減効果を狙うとしています。
次世代への経営体制移行
同社はまた、2026年4月1日付での経営体制の変更を発表しました。現 代表取締役 副社長執行役員 兼 COOの榛葉淳氏が取締役会長に就任し、現 取締役会長の今井康之氏は取締役特別顧問となります。宮川社長は留任し、執行体制の大幅な若返りを図ります。
宮川氏は「いつまでもこの体制でい続けることはできない。増収増益を続けられる構えがようやく戻ってきたこのタイミングで、次世代への継承を進める」と説明しています。新任役員の平均年齢は52歳となり、AI領域などを担う若手リーダーを中心とした新体制で成長戦略を推進します。
競争環境への影響
今回の決算では、モバイル通信事業の契約数が純減となる一方で、ファイナンス事業が利益の柱として確立されつつあることが鮮明になりました。PayPayの決済基盤を軸とした金融エコシステムが、通信事業の顧客基盤維持にも寄与する循環が生まれています。
また、光回線におけるソニーとの提携や、AI計算基盤の外販など、通信キャリアの枠を超えたインフラ事業者としての側面も強化しています。国内通信市場が成熟する中、非通信領域での収益力と、次世代インフラへの投資効率が今後の競争優位を左右することになりそうです。
発表日時: 2026年2月9日
関連URL: https://www.softbank.jp/corp/set/data/ir/documents/financial_reports/fy2025/pdf/sbkk_financial_report_20260209.pdf
関連URL: https://www.softbank.jp/corp/set/data/ir/documents/presentations/fy2025/results/pdf/sbkk_earnings_presentation_20260209.pdf
