☑️ ドコモ中心の金融事業持株会社を7月にも設立へ
☑️ 住信SBIネット銀行の連結化で金融収益が前年比25%増
☑️ 通信と金融を融合した次世代経済圏の構築を本格化
NTTは2026年2月5日、2025年度第3四半期決算会見を開催し、グループの金融事業を統括する「金融事業持株会社」を2026年7月にも設立する準備を進めていると明らかにしました。ドコモ傘下のdカード、d払いなどの既存サービスに加え、新たに連結子会社となった住信SBIネット銀行(ドコモSMTBネット銀行へ商号変更予定)やマネックス証券などを集約し、ガバナンスの強化と事業スピードの加速を図ります。

NTTの島田明社長は会見で「金融事業持株会社のようなものを作りたいと考えており、環境が整えば今年7月くらいに設立したい」と述べ 、設立の狙いについて「金融行政に対するガバナンスを明確にする必要がある。従来、監督官庁は総務省だったが、金融庁の範囲のビジネスになるので金融庁の対応もしっかりできる体制作りをする」と説明しました 。ドコモの前田義明社長も「直近1〜2年で多くの金融会社がグループに参画した。全体を俯瞰し、スピード感を持って事業を進めるためには金融に特化した組織が必要だ」と語り、新組織による意思決定の迅速化に意欲を示しました。

金融事業の急成長と住信SBIネット銀行の連結効果
決算数値においても金融分野の存在感が増しています。ドコモのスマートライフ事業における金融収益は、2025年10月1日付で住信SBIネット銀行を連結子会社化した影響などにより、前年同期比25%増の4177億円に達しました。
| 主要指標(2025年度第3四半期累計) | 実績値 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 金融収益(スマートライフ内) | 4,177億円 | +25.0% |
| 金融・決済取扱高 | 12兆7,400億円 | +14.9% |
| dカード契約数 | 1,875万契約 | +3.7% |
| d払いユーザー数 | 7,227万人 | +14.4% |
住信SBIネット銀行の預金残高も順調に拡大しており、前田社長は「銀行事業をハブとしながら、決済、投資、融資、保険といった金融サービスを通信サービスとシームレスにつなぎ合わせ、金融の境目のない未来を目指す」と述べました。

一方で、ドコモ全体の業績は、通信市場の競争激化に伴う販促費の増加や、端末購入プログラム「いつでもカエドキプログラム」の想定以上の利用による引き当て計上などが響き、営業利益は前年同期比で減益となりました。島田社長は「ドコモの最大のミッションは顧客基盤を維持・拡大すること。シェアの維持が、将来の金融やエンターテインメントなどの付加価値サービスを提供していくための土台になる」と強調し、通信事業で固めた顧客基盤を金融事業へ送客する「クロスユース」戦略の重要性を指摘しました。

通信と金融の融合による「顧客エンゲージメント」の転換
ドコモは、ポイントサービス開始から10周年を機に、日常の利便性を高める新サービス「dバリューパス」を2026年3月1日から提供します。コンビニでのクーポン提供やAmazonプライムとの連携によるポイント還元率向上などを通じ、顧客の離脱を防ぐリテンション強化に乗り出します。

前田社長は、短期的な利益よりも顧客との長期的な関係性を重視する姿勢を示しました。「ホッピングやホッパーと呼ばれる、短期解約を繰り返して特典を享受する行為に対しては、何とかルール整備でできないようにしていかないと(ならない)。我々がコストを投下しているのは、真にサービスを利用し続けてくれる顧客に価値を届けるためだ」と述べ、不適切な競争から脱却し、健全な経済圏運営を目指す考えです。
また、クレジットカード事業では「dカード PLATINUM」が100万契約を突破し、高単価な顧客層の獲得が進んでいます。前田社長は「ポイ活プランの提供などを通じ、エンゲージメントの高い顧客基盤への転換を急いでいる。通信と金融の連携は欠かせない」とし、通信契約を入り口とした金融体験の最大化を収益回復の柱に据えています。

AI活用による金融・法人ビジネスの高度化と効率化
NTTデータグループにおいても、金融分野での生成AI活用が焦点となっています。同社は米シリコンバレーにAI新会社「NTT DATA AIVista」を設立し、金融機関など特定の業界に最適化したAI実装を進めています。
NTTデータの佐々木豊社長は「大手金融機関からは、大規模な言語モデル(LLM)の導入だけでなく、データを完全にクローズドな環境で扱いたいというプライベートAIのニーズが非常に多く寄せられている」と分析しています。自治体や医療機関と並び、金融機関はデータ取り扱いに厳しい規制があるため、NTTグループが開発する純国産LLM「tsuzumi」や、プライベートクラウド環境でのAI提供が強みになるとの見方を示しました。

NTTグループ全体としては、ドコモの通信・金融経済圏と、NTTデータのIT実装力を掛け合わせることで、グループシナジーの最大化を図る構えです。前田社長は「顧客基盤を固めた上で、金融やエンターテインメントなどの新しいサービスを付加価値として提供していく。当然その連携は欠かせない」と述べ、金融事業持株会社の設立を通じてグループの総力を挙げたサービス拡充を進める方針を示しました。
発表日時: 2026年2月5日
関連URL: https://group.ntt/jp/newsrelease/2026/02/05/260205a.html
関連URL: https://www.docomo.ne.jp/corporate/ir/library/presentation/index.html
